酪農

2010 9月 10日

収穫前調査

飼料用トウモロコシ、通称デントコーンの収穫前調査を行いました。その様子を紹介しましょう。
先ず、草丈(穂の付け根までの長さ)、次に着雌穂高(地面から何㎝の所に実が着いているか)。
今年は、播種してから低温が続いて、急激な気温上昇により8月上旬にさっさと穂が出て「結実モード」に突入でした。普通はそこからあまり伸びないのに、余りの高温に後押しされどんどん背が高くなったのでした。
畑全体を見渡すと「豊作」感が有りますが、調べてみると「平年並み」でした。
草丈平均250㎝、着雌穂高平均84㎝。丈が高い割に重さは軽く、1本平均600g。


実もきっちり入っている所をみると、受粉時期に目立ったトラブル(長雨とか低温など)は無かった事が確認できます。

今年の新兵器(らしい)「スーパー茎汁絞り器」で、地面から少し上の部分からサンプル汁を取り出す。

糖の含量を調べる。良いサイレージを作るには、たくさんの糖分が必要です。

硝酸態窒素(余分な窒素)を計測する。あまりに多いとサイレージの味も落ち、牛の健康にも影響する。

実をこんな風に切ってみると、少しずつ白くデンプン化してるのが分かる。現在「黄熟初期〜中期」。収穫適期まであと10〜15日でしょうか。

調査の最中に、田村牧場公認野菜泥棒さん登場。
「なにやってんの?」
「デントコーンの調査」
「なに調べるの?」
「長さとか栄養状態とか調べて、堆肥は多くなかったか?発育は順調か?今現在の状態から予測するとこんなサイレージになるんじゃないか?発酵を上手く行かせるためにこんな調整をしたら良いんじゃないか?とかを検討してる」
「へ〜〜!!堆肥余ったからその辺(畑)にドバーーっと撒いて、種植えれば勝手に大きくなって、それをガーーっと収穫してるんだと思ってた。そんなことしてるの!?」
予想以上に感心されちゃいました。
知ってもらえた嬉しさ半分、いい加減な仕事だと思われていた淋しさ半分の複雑な気持ちでした(笑)
ともあれ、今月いっぱい台風が来ない事を切に祈るばかりです。

2010 9月 08日

今どきのトレンド

今 食品業界では消費期限に関わらない長持ちと言うキーワードが新トレンドとされ、CMでもかなり強調されている食品がある。
消費期限に関わらない長持ち食品とはいったい何か?
例えば・・・味が長持ちするガムだったり、ビールの泡が長持ちするものだったり、
美味しさの長持ちをうたう油だったり・・・と
そう言えば・・・そんな主旨のCMがありますね。
こんな 食品業界の新トレンド ”長持ち食品”と逆行しているのが
牛乳の広告。
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くさりやすいのが、自慢です。
炭酸飲料。
お茶。
コーヒー。
フルーツジュース。
スポーツドリンク。
世の中に飲み物はいろいろありますが、
缶やペットボトルなら
賞味期限は数ヶ月から数年ほど。
常温で持ち歩けて、大変便利です。
それにくらべて牛乳は、8日〜10日間ほど。
冷蔵庫に入れて、フレッシュなうちに
飲んで頂かなくてはいけません。
なぜかというと
栄養があって、無添加で、
できるだけ自然のままで届く飲み物だから。
くさりやすいって、スバラシイですよね。

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ふふふっ っと笑えました。
牛乳に関しては消費期限に関わらない”長持ち”はちょっとあり得ませんが
消費期限が短く、腐りやすいことを全面に持ってきた広告に驚きました。
最期に 「くさりやすいって、スバラシイ」とまで表現され・・・
確かに 腐りにくくて長持ちする食品は使い勝手が良くて、ある意味安心だったりします。でもそれらの食品は多かれ少なかれ保存料や加工がされているものだったりする。
自然のままに近い程 時間と共に腐敗していくのは避けられません。
人は何でも安心安全の中にどっぷりと浸かっていると、すべてのことに危機感を感じなくなってきてしまいます。 
いつも自分の目や口や舌で確かめて 美味しいものを美味しいうちに頂くという感覚と、自然のものは腐るのが当たり前という感覚もしっかり身につけておきたいものですよね。

2010 9月 07日

夏バテ

日中はまだ気温が高いものの やっと秋の空気を感じるこの頃
でもまだ本州は猛暑日の記録更新の連日だとか・・・
本州の搾乳牛たちのことを想像すると とても可愛そう過ぎます。
オホーツクも本当に暑い8月でした
たむら牧場、今年一番の分娩集中月が8月にあたり・・・
15頭分娩 うち2頭が双子
熱中症は人も今年は俄然多かったようですが 牛もこの例に漏れない
分娩前・・・それでなくても食欲が減退気味になるのに
この暑さが追い打ちをかける(乾乳舎には扇風機がない)
へろへろな状態でとりあえず分娩
こんな状態で分娩後 元気でいられる訳もなく・・・
後産停滞・子宮炎・ケトージス・第四位変位・乳房炎・・・・
とさまざまな体調不良を起こす牛 続発
毎日 数頭 点滴・・・

症状の酷い牛は皮下気腫を伴う牛も
皮下気腫というのは身体の何処かに炎症が起きていて、そこにガスが発生しそのガスが
体表の皮下に上がってくるため、特に背中から肩の辺りを触ると、まるでプチプチと炭酸がはじけるかのような感触があるんです。
今 国内で多剤耐性菌の感染が発見され問題になっています。
国内で認可されているどんな抗生剤も効かないという。
我が家の体調不良の牛達も 多剤耐性菌なのか???
いくら抗生剤を変えても、これ以上強い抗生剤はないというのまで使ってみたけれど、一行に熱の下がらない牛が数頭いて
とうとう投薬を中止して様子を見ることに・・・
投薬を中止したら 症状が悪化して廃用になってしまうかもと思いきや・・・
あら、結構 頑張って搾乳しています。
決して体調が順調に良くなっているワケじゃないけれど・・・
悪くもならず 乳量はしょぼしょぼだけど まま、元気!
このまま これから涼しくなってこれば 少しは良くなるかもしれないと
期待をしながら搾ってます。
8月分娩ピーク これからバルクの牛乳が日ごとに増えて 笑みがこぼれるはずでしたが・・・反対に減っていく一方・・・
今年も今月を含めて3ヶ月が勝負! 勝負になりません っていうか 不戦敗?
こんな暑い夏 想定外でしたね。
8月に分娩が多い結果を招く事態、問題でした。
でも昨年秋・・・発情が来れば人工授精したくなりますよね・・・
わざわざ その時期をずらす程・・・繁殖に余裕がないのも事実だったし・・・
早期自然治癒を望むのみ!

2010 7月 27日

宮崎から学んだこと

中学2年の時、進路を見据えて希望する高校を決める日が来た。
「自分は長男である」「特別、これをやりたいと言う事もない」「酪農なら理不尽に頭を下げる事もないだろう」
そんな安易で不純な理由でこの職業を選んだ。
選んだ理由をみんなに聞いたら「牛が好きだから」「両親が楽しそうだから」「仕方なく」「親の暗示に掛けられて」・・・・色んな理由があるだろう。
どんな理由で始めようと職業欄に「酪農家」と書くからには、「理解していなければいけない事」がある。
恥ずかしい事だが、今回の宮崎をきっかけにやっと気付いた。ほんとに恥ずかしい。
乳牛は、ミルクを搾られるために生まれ、大きくなり、2年の時間を経て産乳する。人間のために。生産してくれたミルクを販売して、自分たちの生計を立てる。途中で怪我もし病気にもなるだろう。しかし、ボランティアをやっている訳ではない。収入を超える治療や、四肢健康だけど産乳しなくなった老牛の余生を、広い牧場でのんびりすごさせてやる事は出来ない。
人のために生まれてきた命なら、自分はその命を全うさせているだろうか?
放牧だとかフリーストールだとか乾草だとか配合飼料だとかビタミンだとか抗生物質だとか馴致だとかカウセンスだとか・・・
酪農家を取り巻く色々な物や技術は、畜主が最善と判断して使っている道具でしかない。
この仕事の最大の使命は、無事に最期までその命を全うさせてやる事ではないのか。
牛を牛として生涯を終えさせるために、自分に出来る最善の管理をしただろうか?
「忙しい」なんて理由で吊器でのリハビリを諦めた事がある。
「無事に産んでくれよ」と軽い調子で声だけ掛け、初産牛を放ったらかした事もある。
蹄を痛そうにしている牛の診療を、自分の都合で延び延びにした事もある。
申し訳ない。
口蹄疫の被害にあった養豚農家さんの言葉、
俺たち畜産農家は、人間の命を繋ぐために、家畜の命を繋ぎ養い育てそして、その命を奪う。だからこそこんな事(口蹄疫)で殺したくは無かった。」と泣いていた。
時間の早遅は有るが、「命を奪う」のが自分たちの仕事である。
牛を牛として生涯を終えさせるために、いま自分に出来る最善の管理をしなければならない。
考えてみれば、農業そのものが同じではないか。コメも小麦もキュウリも
・・・・だから「いただきます」「ごちそうさま」なのだ。
理解していなければいけない。
ともすれば気付かない。
でも、とてもだいじな事

2010 7月 26日

距離感

牛は小さい頃から人との関係において恐怖心を抱かないように飼っていると結構、フレンドリーというか興味深く人に近寄って来たりする。
牛の群の中にジーッとしていると 好奇心に駆られ近寄ってくる牛が数頭。
まず そーっと鼻を近づけ、フガッフガッとなんとも言えぬ生暖かい鼻息で臭いを嗅ぎに来る、それでもジーッとしていると今度は 舌をちょこっと出して舌先で触感をたしかめるかのように控えめに舐め始める。
それでも尚ジーッとしていると 衣服を思いっきり噛み引っ張り始める。
さすがにココまでやられるとジーッとはしていられない。
手で軽く追い払う仕草をしても 牛が恐怖心を抱かなければ、今度はオデコや鼻先で人の身体を頭突き始める。
この行為は牛が人とじゃれて見たいという欲求なのか、相手がどのくらい強いのか確かめて見たいという行為なのかもしれない。

              ちかっ!
牛と人の関係に於いて頭突きまで許してしまうことはいけない。第一、キケン!
牛と人の関係に於いて一線を越えてはいけない距離感が必要である。
この「距離感」という感覚は非常に身近に多く存在し、距離感をどう保つかということで善し悪しが決まってしまうことが実に多い。ひとつのセンスとも言えるかも知れない。
車間距離、文章の行間、物の配置、人間関係・・・すべてが距離感によって良くも悪くも構成されていると思う。
特に人間関係に於いての距離感は非常に難しいね〜
家族間、恋人同士、友人同士、職場での距離感・・・全て各々が複雑な距離感によって関係づけられていて 自分が保ちたい距離感と相手の考える距離感の感覚の違いに悩む事が多くないですか?
人付き合いが上手く出来る人は どうやってこれをコントロールしているのか?
牛と人との距離感の確立は結構容易いことかもしれないなぁ〜