酪農

2010 7月 27日

宮崎から学んだこと

中学2年の時、進路を見据えて希望する高校を決める日が来た。
「自分は長男である」「特別、これをやりたいと言う事もない」「酪農なら理不尽に頭を下げる事もないだろう」
そんな安易で不純な理由でこの職業を選んだ。
選んだ理由をみんなに聞いたら「牛が好きだから」「両親が楽しそうだから」「仕方なく」「親の暗示に掛けられて」・・・・色んな理由があるだろう。
どんな理由で始めようと職業欄に「酪農家」と書くからには、「理解していなければいけない事」がある。
恥ずかしい事だが、今回の宮崎をきっかけにやっと気付いた。ほんとに恥ずかしい。
乳牛は、ミルクを搾られるために生まれ、大きくなり、2年の時間を経て産乳する。人間のために。生産してくれたミルクを販売して、自分たちの生計を立てる。途中で怪我もし病気にもなるだろう。しかし、ボランティアをやっている訳ではない。収入を超える治療や、四肢健康だけど産乳しなくなった老牛の余生を、広い牧場でのんびりすごさせてやる事は出来ない。
人のために生まれてきた命なら、自分はその命を全うさせているだろうか?
放牧だとかフリーストールだとか乾草だとか配合飼料だとかビタミンだとか抗生物質だとか馴致だとかカウセンスだとか・・・
酪農家を取り巻く色々な物や技術は、畜主が最善と判断して使っている道具でしかない。
この仕事の最大の使命は、無事に最期までその命を全うさせてやる事ではないのか。
牛を牛として生涯を終えさせるために、自分に出来る最善の管理をしただろうか?
「忙しい」なんて理由で吊器でのリハビリを諦めた事がある。
「無事に産んでくれよ」と軽い調子で声だけ掛け、初産牛を放ったらかした事もある。
蹄を痛そうにしている牛の診療を、自分の都合で延び延びにした事もある。
申し訳ない。
口蹄疫の被害にあった養豚農家さんの言葉、
俺たち畜産農家は、人間の命を繋ぐために、家畜の命を繋ぎ養い育てそして、その命を奪う。だからこそこんな事(口蹄疫)で殺したくは無かった。」と泣いていた。
時間の早遅は有るが、「命を奪う」のが自分たちの仕事である。
牛を牛として生涯を終えさせるために、いま自分に出来る最善の管理をしなければならない。
考えてみれば、農業そのものが同じではないか。コメも小麦もキュウリも
・・・・だから「いただきます」「ごちそうさま」なのだ。
理解していなければいけない。
ともすれば気付かない。
でも、とてもだいじな事

2010 7月 26日

距離感

牛は小さい頃から人との関係において恐怖心を抱かないように飼っていると結構、フレンドリーというか興味深く人に近寄って来たりする。
牛の群の中にジーッとしていると 好奇心に駆られ近寄ってくる牛が数頭。
まず そーっと鼻を近づけ、フガッフガッとなんとも言えぬ生暖かい鼻息で臭いを嗅ぎに来る、それでもジーッとしていると今度は 舌をちょこっと出して舌先で触感をたしかめるかのように控えめに舐め始める。
それでも尚ジーッとしていると 衣服を思いっきり噛み引っ張り始める。
さすがにココまでやられるとジーッとはしていられない。
手で軽く追い払う仕草をしても 牛が恐怖心を抱かなければ、今度はオデコや鼻先で人の身体を頭突き始める。
この行為は牛が人とじゃれて見たいという欲求なのか、相手がどのくらい強いのか確かめて見たいという行為なのかもしれない。

              ちかっ!
牛と人の関係に於いて頭突きまで許してしまうことはいけない。第一、キケン!
牛と人の関係に於いて一線を越えてはいけない距離感が必要である。
この「距離感」という感覚は非常に身近に多く存在し、距離感をどう保つかということで善し悪しが決まってしまうことが実に多い。ひとつのセンスとも言えるかも知れない。
車間距離、文章の行間、物の配置、人間関係・・・すべてが距離感によって良くも悪くも構成されていると思う。
特に人間関係に於いての距離感は非常に難しいね〜
家族間、恋人同士、友人同士、職場での距離感・・・全て各々が複雑な距離感によって関係づけられていて 自分が保ちたい距離感と相手の考える距離感の感覚の違いに悩む事が多くないですか?
人付き合いが上手く出来る人は どうやってこれをコントロールしているのか?
牛と人との距離感の確立は結構容易いことかもしれないなぁ〜

2010 7月 25日

永遠の課題

今朝の新聞に「脂肪川柳」の大賞作品が紹介されている記事が目にとまった。
とあるジムが募集した川柳らしい。
「どうですか?」聞かれて出られない 試着室
ダイエットを必要としている女性なら、思わず 「わかる!わかる!」その状況!
とうなずいてしまう川柳です。
やめておけばいいのに・・・あえて希望的観測でちょっとちいちゃめのサイズを試着してみたくなるもの。 
試着してみて・・・あ”〜止めておけばよかった・・・とガッカリする自分
狭い試着室の中で一喜一憂するのです。
そこへ、店員が「いかがですか〜?」なーんて声かけられたら・・・ 
はたと現実に戻り、冷や汗。
ガッカリしている自分が居るのに、次は店員にどういい訳けしようかと
必死に考えている自分がそこにいるんだなぁ〜 笑
自分も2年前の冬から夕食に炭水化物を取らないというだけの単純なダイエット法で
実にゆっくりですが2年掛けて8kgのダイエットに成功!
いかに炭水化物の取りすぎだったかという事が証明されたようなものです。
なにもダイエットが必要なのは人間ばかりではないんです。
牛もブクブクに太ってしまうのがいるんですね〜

牛も太りすぎは大敵
我が家の様に群で飼っていると 1グループ同じエサがあたっているのですが、
単純に同じエサがあたっていると言う事は みんな同じ体型になってよさそうなものですが、そうはいかなくて 痩せている牛もいればオデブリンの牛もいるわけで
勿論、どちらも極端なのはいけない。
とかく 太りすぎの牛をダイエットさせるのには群から隔離して栄養管理をしなければならないのですが、我が家には隔離する場所がない。
従って オデブリンのまま分娩を迎えることになるわけで、こういう太った牛が分娩すると肝機能低下に陥り分娩後 激やせ、あらゆる周産期病に悩ませられ、ちぃーとも産乳出来ずに一乳期が終わってしまうことになりかねないのです。
適切なボディーコンディションを保つのは大変な事です。
ちなみに牛のボディースコアは5段階
スコア1(激やせ)〜スコア5(超肥満)まで
写真の牛はスコア5!
 
あなたはスコアいくら???
人の場合は痩せていても 隠れ肥満と言って体脂肪が高い人がいますから一概には言えませんがね。
太る・・・っていうことは 食生活が豊かな証拠です。幸せの証ですね 笑

2010 4月 20日

哺育育成の取材

全酪連の齋藤氏の定期巡回調査(年1〜2回もう今年で5年目ぐらい)に訪れました。
これに合わせてデイリージャパン社の取材記者も同行。
齋藤氏が訪問されるより一足早く取材記者が訪れ、事前に我が家で行っている哺育に対する聞き取り調査があり、20年に及ぶこれまでの哺育技術の経緯や苦労話、現在実践している「強化哺育」の現状や成果を話した。
齋藤氏と合流してからは 実際に哺育牛、育成牛、乾乳牛、搾乳牛まで現場での発育状況を見ながら、通常哺育と強化哺育の違いなど齋藤氏から記者へ説明と同時進行しながらの調査となった。
齋藤氏の記事に書けない様な発育表現に苦笑する記者、時折、我が社長との音楽談義にしばし脱線気味でなかなか思う様に進まず大変だったようでした(笑)
生き物相手の技術だけに 本当に毎日試行錯誤。いつも何でだろ〜?何でだろ〜?と悪戦苦闘続きなのが現実。強化哺育を行っているからと言って全てが上手く行く訳ではない。
毎回、来られててもいつも状態が良い訳でもない。
4月に訪問する事が多いので、冬期間の発育状況がもろに現れている時期なので冷や汗ものです(笑)
こうして毎年足を運ぶ巡回牧場は我が家の他に数軒、その牧場の状況も報告してくれるので 何よりも頑張らなくっちゃという心の励みになります。
たむら牧場・・・本当に色々な人に支えられて営農しているんだと感謝です。 
雨の降る寒い中 ありがとうございました。
記事はデイリージャパン7月号に記載されるそうですよ。

2010 3月 05日

未病

「未病」・・・病気ではないが、健康ともいえない中間の症状。
ちょっとしたしびれやだるさなどを感じる状態のことらしい。
「未病は病気に発展させてはいけない状態、健康に戻る好機である。」と述べられている。
仔牛の哺乳を担当している私としては、仔牛の「未病」を察知することは非常に重要。 
一日2回 一回3リットルのミルクをほ乳瓶で、離乳まで手やりにて給与している。ボトルフォルダーは使わない。
ミルク待ちの仔牛の状態・・・今か今かと待ち切れんっていう状態であって欲しい。寝て待っていられるのは・・・ちょっと・・・冷や汗が出る・・・
ミルクの飲みの勢い・・・一気に飲み干すのが良い、途中何度も休み休み飲むのはイケてない。勢いも前日と比べて弱く感じるときはヤバイ
喉からの雑音・・・誤嚥性肺炎?などを疑わなくては・・・キケン
カーフハッチの中に残されている糞の状態・・・色、堅さ、ニオイ等の毎日の変化は敏感になっていなければならない。
・・・などとあげればきりがない。
私が一番、未病だと感じるのはしっぽ!
健康な状態であればミルクを飲んでいる時に必ず 左右にしっぽを振りながら飲んでいます。尾根をあげて振っているときは最高♪
元気に飲んでいても今日はしっぽを振っていない(>_<)のを見ると  注意信号点滅です。仔牛の未病サインです。 何年 哺乳していても実に難しい作業です。毎日が試行錯誤。 仔牛ってどうしてこんなに繊細なんだろうって・・・つくづく思う。 だから やり甲斐があるって感じるのかも知れません。 社長曰く、私は慢性未病らしい。未病が持病?・・・意味わかりません! 未病・・・病気に発展させてはいけない! 肝に銘じて元気で行きましょう!