酪農

2019 12月 15日

下牧


今年最後の若牛の下牧だった。
十勝の預託牧場から4時間の道のりを今回は6頭が下牧して来た。
立派な家畜車に乗っておよそ1年ぶりの帰宅。

生後6か月から預け分娩およそ2か月前に帰ってきます。


十勝の預託牧場に預けるようになってすでに16年。お陰で初産分娩事故も激減し後継牛としてちゃんと残って働いてくれるようになった。
何ったって、手間がないだけに、自分で育成の繁殖を見なくていいのが一番有難い。
現在初産成績も9800kg、補正乳量だと13000kgと我が牧場にとっては優秀な初産牛になっています。

今月から初妊牛の分娩も多くって、全体の搾乳頭数がこれから増える一方。今まで長い秋休みだったので楽しみ。
今年は春に床の溝切工事を施工してもらって、滑って転んで廃用になる牛は一頭も出なかった。
しかし、その他の理由で廃用にする牛は相変わらず多くて、全体的には前年比プラスマイナスゼロという感じに終わりそうです。

廃用になったリストを見ると、牛の生涯寿命の短さに驚く。私なんてもう57年も生きているのにね~申し訳けないわ。
牧場に10年いる牛なんて氷山の一角程度。平均5~6歳で除籍になっているいるのが現実。
もう一年生涯寿命が延びると牛も増えるのにって思う。20年以上も前に作られた牛舎と牛のサイズがもうすでに合っていない?
牛飼いとしての力量も限界?と理由はたくさんあれど、牛飼いはまだまだ続くので、試行錯誤もこの先もずーっと続けて行かなくてはなりません。
牛人共に幸せな方向へ。

2019 11月 25日

乳房炎防除対策研究会

今年最後とも言われるような暖かい日となった22日、札幌で開催された北海道乳質改善協議会が主催する「乳房炎防除対策研究会」に参加してきた。
早朝5時少し過ぎ、JAの公用車に乗せてもらい会場に向う。
仔牛はいつもより1時間以上も早くにミルクを給与し、育成牛もまだまったりと寝ている時間を起こして、餌給与を済ませ、自分の身支度して5時。
まだまだ外は真っ暗。

会場になったホテルニューオータニには全道から酪農家、関係機関300名を超える参加者でいっぱいだった。

講演は大きく2テーマ
「栄養管理から考える乳房炎防除」、「初産牛を乳房炎から守る」が用意されていた。

午前中は栄養管理から考える乳房炎防除というテーマから2発表

十勝農協連・古川研治氏による「乳検情報から考える飼養管理と乳房炎の関連性」と題しての発表があり、乳検成績速報の中に「BHB」という数値の欄がある。
このBHBは乳汁中のケトン体濃度の数値で、この数値が0.13以上だと潜在性ケトーシスと判断され、更に乳房炎スコア5以上の割合が高い傾向にあるという。
そもそもケトーシスは分娩前後のエネルギー不足により発症する。ケトーシスを予防することが最大の乳房炎防除と産乳成績を高めると説明されていた。
改めて、我が家の乳検データーを見直したところ、BHB数値は全頭0.13以下だったけれど、体細胞の高い牛は結構存在していた。
という事は、我が家の乳房炎対策は栄養面ではなく、環境要因による対策を重視しなくてはならないということになる。

続いて、酪農学園准教授・大塚浩通氏による「環境性乳房炎における免疫と栄養管理の関連性」について。
生乳生産現場において、乳房炎治療による薬代や廃棄乳のロスによる産乳量の減少は、経費増と収入減とダブルで経営を悪化させる大きな要因ですが、なかなか根絶が難しい疾病ともいえる。大塚氏は牛の栄養管理をしっかりしたうえで、免疫力で乳房炎の防除に努めることは重要だと話された。
この免疫力を最大に引き出すためには、やはり栄養管理が重要で、エネルギー不足では必然と免疫細胞が乳房炎菌と戦うことが出来ずに、発症に至ってしまう。そのためにもケトーシスや低カルシウム血症には注意する必要があると。特に乳汁中のリノレン酸が増えるような餌では、肝心な免疫力を低下させてしまう要因になってしまうとのこと。

午後からは「初産牛を乳房炎から守る」をテーマにして3発表

JAひがし宗谷の「ふぁーむ未来」牧場の「初産牛が乳量・乳質・経営を左右する」と題して事例発表
この牧場の最大の特徴は未経産牛の分娩3~4カ月前に泌乳期30kgメニューの餌を飽食させている点
このことによって、分娩前の体調も良くなり、分娩後の泌乳ピークが5kgもアップしたという。
よって、初産牛群が牧場の産乳量の底上げとなり、まさに初産牛が牧場を支えている大黒柱ともいえるかもしれない。
もちろん、体調がベストなら乳房炎も極めて少なくなり、乳房炎は全体の1%というから素晴らしい。
また、興味深かったのは、飼槽に固形糖蜜を置くこで、その減り具合で餌の充足率をモニターし、エサ設計を調整するそうです。

北海道酪農検定協会から山口論氏・前田アグリマネジ事務所から前田博行氏による「初産牛の乳房炎と生産寿命との関連性」と題して
初産牛の分娩後100日以内に乳房炎にかかると、掛からない牛に比べると除籍、淘汰率がおよそ1.5倍も高まるという事実。
また、初産後リニアスコア5以上を記録すると必然と生涯産乳量も減り、牧場から除籍される滞在日数も短くなる傾向があるとのこと。
これは、現場にいると必死と感じる事実です。乳房炎を繰り返し、治療しても体細胞が高い牛は真っ先に淘汰対象になる。治療費がかさみ、廃棄乳ばかりで全く乳代が稼げない牛、ただ飯食い牛は真っ先に淘汰!!!(笑) 笑いごとではないのですが。。。。

最後に「初産分娩牛における乳房炎の発生メカニズム」と題して、帯広畜産大学准教授 草場信之氏からのお話。


衝撃的な事実を話された。以外にも初産分娩前にすでに思った以上におもにCNSに感染しているということ。
けれど、CNSは他の乳房炎菌に感染した場合にくらべ、産乳量には影響は見られないそう。しかし、SAや環境性の連鎖球菌による乳房炎は大きな損失が見られるとういう。そして、感染力が非常に強いマイコプラズマ乳房炎は特に注意すべきで、導入牛はもちろんのこと、自家育成をしている育成牛が過去に呼吸器病の発症がある場合には、初産分娩後にマイコ乳房炎を多発する可能性が大きいとのこと。まさにドキッです。
よって、初産分娩後は導入牛・自家生産牛問わず全頭マイコプラズマ検査が必要とのこと。

 

今回の研究会においては、すべての原点は栄養管理が原点であり、環境改善・ストレス軽減の配慮を加えてはじめて乳房炎対策が成り立つということだったように思う。酪農はすべてにおいて、牧場の総合力が問われるということです。何かひとつだけ改善しても結果は出にくくいということですね。
どれだけ、幅広く目配り気配り思いやりに実行力が付いていくかで、乳量・乳質・経営に直結していくということです。

酪農ってホント、考えることやること多すぎ!

考えただけでも疲れちゃいます。

でも、そこが、また、酪農の醍醐味ともいえる面白いところでもある かも。

 

 

2019 11月 20日

暴風

先日雪が降ってそこそこ積もったまではよかったのですが、この2日間暴風で荒れています。
とにかく風が強くって、まるで台風並みな感じ。

冷たさが一気に高まり、刺す痛さを感じます。

そんな中、我が家の牧場の看板がとうとう倒伏

建ててからおよそ20年、そろそろかなり痛みが進んできていて、みすぼらしい状態だった。
新牛舎が出来る頃には、看板を下ろそうと思っていたけれど、一年早く自然の力で撤去されてしまうことに。
丁度良かったかもしれないと思った。
本当に何もかも20年と言う歳月は節目になるんだと、つくづく最近思う。
そして、年末にかけてホントものが壊れてくれる。
住宅のストーブも2台お取替え。牛舎もあっちもこっちも、痛み修理ばっかり。
スラリーポンプも壊れ、修理代に目が飛び出た。
とは言え、ひとがまだ健康でいられるのはありがたいことと思うわ。

 

 

 

2019 11月 13日

建設現場

2021年春の稼働を目指して3戸共同経営の「(株)えみんぐ」の牛舎工事が夏から始まりました。
会社が立ち上がってまる2年、やっと工事まで漕ぎついたという感じです。
この2年、まさに、まさかの事態が何度も立ちはだかり、白紙に戻るのではないかと思うこともありましたが、やっと進み始めた。これもたくさんの方々のご協力なしには進んで来られなかった。
本当に、国のお金を借りるという事は一筋縄ではいかないものなんですね。スタートを切るだけでどれだけの人達が関わり、頭を悩ませ、ご足労頂きながら
会議や打ち合わせを重ねて来ました。たむら牧場が20年以上も前にフリーストール牛舎を建てた金額と比べたら、とんでもない巨額です。
桁数が多くて数えられません。

年内の工事はここまでだそう。バンカーサイロとスラリーストアが完成した様子。
牛舎そのものの工事は来年春から着工予定。

そんな一段落ついた現場をドローン撮影し編集した息子。
ドローンの操作はまだぎこちないところがあるのは、腕なのか機器の悪さなのかわかりませんが、やっと全容が見られるようになりました。
現場に直接行ったことのない私。
こうしてみると、牛舎の建つ位置は国道からかなり近し。土地に制限があるため致し方なかったとのこと。
現在、敷地面積は約4ヘクタール、東京ドーム(行ったことがない)約1.2個分だとか。東京ドームって随分と大きいんですね(笑)

ちっちゃな現場監督さん、進捗状況はいかがなものでしょうか?(笑)

2019 11月 11日

ミルクチューブ

久しぶりに、本業の話題です。

出生直後の仔牛への初乳の給与の重要性は今も昔も変わらない事実。
今まで、随分とその初乳の品質や給与方法について議論されてきた。

母牛から免疫力を貰わずに生まれてくる仔牛にとって、免疫を仔牛の体内に移行させるのは初乳を給与する以外に方法はないのです。
体外に生まれ落ちた瞬間から、仔牛を取り巻く環境は雑菌まみれ。如何に早く衛生的に品質の良い初乳を給与するかは、将来の乳牛にとってずーっと大きく影響する要因のひとつとされている。

しかしながら、健康に生まれてくる仔牛ばかりではないし、生まれ落ちた環境が酷く寒かったり、汚かったり、畜主が分娩に立ち会えない時に生まれてくる時だってある。
難産を呈して、すぐに自力でミルクを飲むことが出来ない仔牛も多々いるなか、とにかく口や鼻から各種の雑菌が取り込まれないうちに、すばやく初乳を給与することが重要。
自力で飲むことが出来ない仔牛への救世主となるのが、カテーテルによる強制哺乳。
カテーテルとは口から管を挿入してミルクを流し込むものをいう。

上の画像は一般的なカテーテル。我が家でもずーっとコレを使用してきました。
これは半年前ぐらいに購入したものですが、以前は管の先が少し膨らんだ丸い形状をしていたのですが、今回のはそれがなくただプラスチックのパイプを切っただけの先でした。(もしかしたら、不良品?)
このカテーテルは、仔牛の喉に挿入するとき、熟練が必要。またミルクの入った状態でひとりで仔牛に挿入し飲ませるのは結構至難の技。
我が牧場では誰も手伝ってはくれないので、まず、口にミルクの袋を咥えて、仔牛に股がり、カテーテルの部分を気管に入らないように?(見えないのであくまでもカン!)プラスチックの固い部分をほぼ挿入してからミルク袋の下のストッパーを外しミルクを送り込むと言った感じです。おとなしく飲む子もいれば、暴れる子もいる、スゴク苦しそうにうめく子もいる、ミルクを吹き返してくる子もいたりする。
果たして、これはどういうことになっているのか?正しいのか?私にはよくわからないのが現実。もしかしたら、気管に誤挿入してるのかもと絶えず不安になる。
それでも、免疫力の早期獲得のためと信じて実行しているわけなんです(自力哺乳の出来ない仔牛や、所要で自分が急いでいるときや、深夜など理由はたくさん・笑)

出来るだけ早くとは言え、自力で飲めない子に強制投与しても、免疫力が上がらないとも言われ、自力で飲むまで待って初乳を給与すべきだとか。
カテーテルの使用は気管への誤挿入の恐れがあり、誤嚥性肺炎のリスクを高めるとか。
自力哺乳では口から第四胃へ流れ込むような構造になっているのにも関わらず、カテーテルでは第一胃へ初乳が流れ込むので、免疫を獲得するのに時間が掛かるうえ、一胃で不良発酵を起こすとか言われてきた。

そんな情報が錯そうして、その時その時の情報に振り回されてきた。
でも、結局、早く初乳を給与する方が、時間を経過させるよりいい!という私の中での結論を出した。

ということで、このカテーテルって、もっと良いものがないだろうか?と漠然と思っていたところ、今年春にイイ情報を提供してくれた育成牧場の方がいた。
そこの育成牧場では出生直後の仔牛は扱わないので必要ないそうなのですが、良さげなのがあるので聞いてみたらと情報をくれたのです。

それがコレ!
「ミルクチューブ」という商品


今までのとは、まるで違う
ミルクボトルは自立するので口に咥えなくてもいい!
マウスピースが付いていてカテーテルの部分をどこまで挿入したら良いのか、仔牛の体重の目盛りが付いていて
そこにストッパーをセットしておけば適切な深さまで挿入できるようになっている。
何といってもカテーテルの先端が仔牛の食道を傷つけないような優しい形になっている。

実際に使ってみると、何の心配もなく、誰でもカテーテルを挿入できます。
とっても使い勝手がいいです。
ミルクボトルも4リットルと大容量。画期的ですね。

更に、このミルクチューブの使用方法や仔牛の食道と気管をわかりやすく説明してくれる動画があるので、了承を頂いたので下記のURLにアクセスしてみてください。
この説明を見て改めて食道がデリケートな器官であることがわかり、カテーテルの構造の重要性が問われる感じです。

https://www.youtube.com/watch?v=ZFkC5O3OiJw

このミルクチューブにはニップルも付いていて、アタッチメントを交換すると哺乳瓶としても使用できます。

詳しく知りたい方はファームエイジさんまでお問合せしてみて下さい。