2015 11月 20日

乳房炎防除対策研究会

乳房炎のセミナーに参加。
毎年札幌で行われているこのセミナーなのですが、
いつもはしゃちょーが参加していたけれど、今年はJAが札幌日帰りの日程で公用車で送迎してくれるとの事で、私が初参加することが出来た。

乳房炎セミナー

市内中心部のビルの大会議室には、道内から300人を超える出席者でびっしり。

今回のセミナーは「コスト低減・良質乳生産をめざして」というメインテーマのもと、「牛群における異常(乳房炎)の早期発見技術」・「優良農家による事例発表」・「初乳の衛生管理について~健康な仔牛を育てるために~」の3つの講演をホクレン生産振興部酪農技術顧問 菊池 実氏と北海道NOSAI主任技師 草場 信之氏・酪農学園大学教授 樋口 豪紀氏の座長により進められた。

乳房炎セミナー2
乳質向上対策に向けた士幌乳検組合の取り組みを紹介。
毎月の検定立会の時に検定員は乳量測定や牛乳サンプルの採取のほかに、治療牛のマークバンドの確認、個体非投入乳量確認、肢蹄・腹囲形状調査まで実施。
士幌は乳質におけるペナルティも厳しいが、その分、通常の検定の他にオプションとして乳質向上のための特別立会やラクトコーダーを使用しての搾乳・洗浄に至るまで検定組合・JA・獣医師・町の連携を取りながら手厚く生産者をフォローしている取り組みがなされていた。

また、士幌の農場における「オンファームカルチャー」の活用における乳房炎の早期発見技術の紹介があった。
オンファームカルチャーとは農場での乳汁培養検査のこと。
通常はNOSAIなどに依頼して乳房炎菌の特定を検査してもらうのですが、コレを個人の農場で検査することで、検査結果が出るまで1~2日かかるところを半日~1日で判断治療方針をたてられることから、無駄な抗生物質を投入せずに手間と薬代の低減をはかることが出来るというもの。
この技術の話のなかで、たとへ乳房炎であっても菌種によっては、乳房炎軟膏の治療の必要のないものがあるということ。この農場においては、このオンファームカルチャーを導入することにより治療が1/3になったとか。
取りあえず何でもかんでも、乳房炎には薬を投入し牛乳を廃棄している現状において、目の見張る技術だった。乳房炎の多い農場は価値の高い技術かも知れない。
それほど、乳房炎の原因菌の研究が進み菌種ごとの違いを考慮した効率的な治療方針が立てられるまでに至っている事に、今回のセミナーに出席した価値があった。 乳房炎になるには多種多様な原因があり、その予防策の基本を怠ってはいけないのは根底にあるのですが、全くゼロにもならないのも現実。それを踏まえてのステップアップの技術ですね。

我が地区のNOSAIの獣医師もきっとこの知識はあるはず、地元の農家さんに是非フィードバックして欲しいなぁ・・・・

 

優良農家による事例発表
JA新はこだての若い(25歳?)青年の発表があった。
彼は結婚して1年、現代風のちょっと軽く見える青年ですが(ごめんなさい、イイオバサンから見るとそう見えちゃうんですね)、実は徹底した揺るがな一本筋が通っていた青年でした。

乳房炎セミナー3

その青年が取り組んでいる乳質改善。
肝心要の作業は自分でやる!搾乳は清潔さとスピード重視!
スピード重視なんてところは若者らしいです。

しかし、清潔さは当たり前の事ですが、この異常なスピード感も理にかなっているところがNOSAI技術顧問の草場先生の分析で立証。
実際の様子を動画で紹介されていましたが、オバサンにはとても真似なんてできない、ムリです。 笑
搾乳後のミルクフィルターの状態もものすごく綺麗!完璧とも言うべき搾乳技術。フィルターは搾乳衛生の最終成績表ですから、乳房炎のブツやゴミなどの汚れがないのが最上級成績。もう恐れ入りましたの一言です。見習わなくては成りません。まっ、これぐらいの汚れは普通???なんて思う自分が恥ずかしくなります。

搾乳は3人体制ですが、三人がそれぞれの牛を分担するのでは無く、搾乳手順を分担する方法。先絞りする人、プレディッピングする人、清拭する人、ミルカーを装着するひとなど作業を分担、この青年は先絞りとミルカー装着担当。この作業を自分でする事で乳房炎の発見と最後に綺麗に乳頭が清拭されているか確認しミルカーを手早くかける事で乳質向上に努力されている。
本当に話し方はチャラいのですが、驚くほど徹底した信念を持った頼もしい青年でした。これからも楽しみな青年です。

最後は、オリオン社からパスチャライザーの活用にあたっての提言と北大教授による牛白血病防除の観点からの初乳衛生と感染予防についての講義があった。

我が家はまだパスチャライザーの導入に至っていない。色々な情報があるなか、ひとつクリア出来ない観点があって導入していなかったのですが、今回の講義の中でクリアできて導入しようと思うに至った。
白血病は水面下で広がってしまう病気。発病しないまでも牛群全体が蔓延してしまう可能性は非常に大きい。牛自体の抵抗力が低下することで乳房炎など様々な病気を発病しやすい体質になってしまい、牛群全体の生産性がいつの間にか低下してしまう厄介な存在です。清浄化するまでには何年も何回もの検査を繰り返さなくては成らない。感染の知識を畜主がしっかり持っていないと防げない病気です。初乳のパスチャライザーはもはやベーシックな技術であると言うことですね。

早朝6時自宅出発、帰宅7時と言う強行軍なセミナーでしたが、得るものが多かったです。
JA職員さんに感謝です。また来年もよろしくお願いします!