2019 11月 25日

乳房炎防除対策研究会

今年最後とも言われるような暖かい日となった22日、札幌で開催された北海道乳質改善協議会が主催する「乳房炎防除対策研究会」に参加してきた。
早朝5時少し過ぎ、JAの公用車に乗せてもらい会場に向う。
仔牛はいつもより1時間以上も早くにミルクを給与し、育成牛もまだまったりと寝ている時間を起こして、餌給与を済ませ、自分の身支度して5時。
まだまだ外は真っ暗。

会場になったホテルニューオータニには全道から酪農家、関係機関300名を超える参加者でいっぱいだった。

講演は大きく2テーマ
「栄養管理から考える乳房炎防除」、「初産牛を乳房炎から守る」が用意されていた。

午前中は栄養管理から考える乳房炎防除というテーマから2発表

十勝農協連・古川研治氏による「乳検情報から考える飼養管理と乳房炎の関連性」と題しての発表があり、乳検成績速報の中に「BHB」という数値の欄がある。
このBHBは乳汁中のケトン体濃度の数値で、この数値が0.13以上だと潜在性ケトーシスと判断され、更に乳房炎スコア5以上の割合が高い傾向にあるという。
そもそもケトーシスは分娩前後のエネルギー不足により発症する。ケトーシスを予防することが最大の乳房炎防除と産乳成績を高めると説明されていた。
改めて、我が家の乳検データーを見直したところ、BHB数値は全頭0.13以下だったけれど、体細胞の高い牛は結構存在していた。
という事は、我が家の乳房炎対策は栄養面ではなく、環境要因による対策を重視しなくてはならないということになる。

続いて、酪農学園准教授・大塚浩通氏による「環境性乳房炎における免疫と栄養管理の関連性」について。
生乳生産現場において、乳房炎治療による薬代や廃棄乳のロスによる産乳量の減少は、経費増と収入減とダブルで経営を悪化させる大きな要因ですが、なかなか根絶が難しい疾病ともいえる。大塚氏は牛の栄養管理をしっかりしたうえで、免疫力で乳房炎の防除に努めることは重要だと話された。
この免疫力を最大に引き出すためには、やはり栄養管理が重要で、エネルギー不足では必然と免疫細胞が乳房炎菌と戦うことが出来ずに、発症に至ってしまう。そのためにもケトーシスや低カルシウム血症には注意する必要があると。特に乳汁中のリノレン酸が増えるような餌では、肝心な免疫力を低下させてしまう要因になってしまうとのこと。

午後からは「初産牛を乳房炎から守る」をテーマにして3発表

JAひがし宗谷の「ふぁーむ未来」牧場の「初産牛が乳量・乳質・経営を左右する」と題して事例発表
この牧場の最大の特徴は未経産牛の分娩3~4カ月前に泌乳期30kgメニューの餌を飽食させている点
このことによって、分娩前の体調も良くなり、分娩後の泌乳ピークが5kgもアップしたという。
よって、初産牛群が牧場の産乳量の底上げとなり、まさに初産牛が牧場を支えている大黒柱ともいえるかもしれない。
もちろん、体調がベストなら乳房炎も極めて少なくなり、乳房炎は全体の1%というから素晴らしい。
また、興味深かったのは、飼槽に固形糖蜜を置くこで、その減り具合で餌の充足率をモニターし、エサ設計を調整するそうです。

北海道酪農検定協会から山口論氏・前田アグリマネジ事務所から前田博行氏による「初産牛の乳房炎と生産寿命との関連性」と題して
初産牛の分娩後100日以内に乳房炎にかかると、掛からない牛に比べると除籍、淘汰率がおよそ1.5倍も高まるという事実。
また、初産後リニアスコア5以上を記録すると必然と生涯産乳量も減り、牧場から除籍される滞在日数も短くなる傾向があるとのこと。
これは、現場にいると必死と感じる事実です。乳房炎を繰り返し、治療しても体細胞が高い牛は真っ先に淘汰対象になる。治療費がかさみ、廃棄乳ばかりで全く乳代が稼げない牛、ただ飯食い牛は真っ先に淘汰!!!(笑) 笑いごとではないのですが。。。。

最後に「初産分娩牛における乳房炎の発生メカニズム」と題して、帯広畜産大学准教授 草場信之氏からのお話。


衝撃的な事実を話された。以外にも初産分娩前にすでに思った以上におもにCNSに感染しているということ。
けれど、CNSは他の乳房炎菌に感染した場合にくらべ、産乳量には影響は見られないそう。しかし、SAや環境性の連鎖球菌による乳房炎は大きな損失が見られるとういう。そして、感染力が非常に強いマイコプラズマ乳房炎は特に注意すべきで、導入牛はもちろんのこと、自家育成をしている育成牛が過去に呼吸器病の発症がある場合には、初産分娩後にマイコ乳房炎を多発する可能性が大きいとのこと。まさにドキッです。
よって、初産分娩後は導入牛・自家生産牛問わず全頭マイコプラズマ検査が必要とのこと。

 

今回の研究会においては、すべての原点は栄養管理が原点であり、環境改善・ストレス軽減の配慮を加えてはじめて乳房炎対策が成り立つということだったように思う。酪農はすべてにおいて、牧場の総合力が問われるということです。何かひとつだけ改善しても結果は出にくくいということですね。
どれだけ、幅広く目配り気配り思いやりに実行力が付いていくかで、乳量・乳質・経営に直結していくということです。

酪農ってホント、考えることやること多すぎ!

考えただけでも疲れちゃいます。

でも、そこが、また、酪農の醍醐味ともいえる面白いところでもある かも。